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タイトル: The Culture of Victorian Governess : Their Social Status and Characterization in Novels
著者: ONODA, Nao
発行日: 2011年3月25日
出版者: 奈良教育大学
収録種別: 学位論文
内容記述: 奈良教育大学修士学位論文, 学位の種類: 修士(教育学), 学位授与年月日: 平成23年3月25日
抄録: ヴィクトリア時代のイギリスでガヴァネスの人口が急激に増加したが、その歴史を辿ると8世紀にまで遡る。当時ガヴァネスは宮廷に勤め、王の子供たちの教育にあたり、身分の高い存在であった。16世紀には初めて有給のガヴァネスが現れ、17世紀ごろまでガヴァネスは丁重に扱われ、一般にこのころまでは貴族の娘たちの教育を任されていた。18世紀には寄宿学校が流行するが、生徒の健康状態に対する配慮がなく不衛生であったため、裕福な家庭ではガヴァネスを雇い子供たちの教育にあたらせた。そして19世紀、ヴィクトリア時代になると産業革命により中流階級の人々が力を持ち、彼らは上流階級気取りでガヴァネスを雇うようになったのだ。彼らは馬や持ち物の数で権力を誇るのと同様にガヴァネスを権力の象徴として雇うようになった。またガヴァネスになりたがる女性が増えたのもガヴァネス急増の要因の一つである。中流階級の女性は結婚できなければ父親の財産を頼って生きるほかない。しかし父親の死、事業の失敗等で頼ることのできない女性は自活の道を選ばざるをえなかった。しかし彼女たちは中流階級のレディであるのだから、レディとして恥ずかしくない仕事を選ぶ必要があった。それがガヴァネスであったのだ。
ヴィクトリア時代のガヴァネスは、使用人でもなく、また家族の一員でもない孤立した存在であった。また給料は年に20ボンドそこそこで、基礎教育に加え、子守や縫い物もまかされた。教育内容は、カテキズムが主軸になっており、問答法が行われた。娘たちに内容を丸暗記させ、感情を押し殺すような教育もされた。この時代には女性の居場所は家庭であるとされていた。つまり読み書きができるより、優しく、穏やかで、家事や縫い物ができる女性が求められていたのだ。ガヴァネスによる教育もこういった19世紀イギリスの思想が大きく関係している。そうした世の中の状況を反映したものが当時の小説である。ガヴァネスを扱う著名な作品として、『虚栄の市』や『ジェイン・エア』が挙げられる。どちらの主人公もガヴァネスではあるが、とても対照的な性格を持っている。『虚栄の市』の主人公ベッキーは、野心家で、ガヴァネスという仕事を最大限に利用し、男たちを手玉に取り、金や地位や権力のためには嘘もつくし、友達をも騙していく。彼女にとって結婚はもっとも重要なことで、すべては金、地位、権力のためであり愛情など必要なかった。サッカレーはベッキーの頭の良さと華麗さにより、俗物根性丸出しの男たちが操られていく様を描いたのである。こうすることでしか女性はこの時代を生き延びることができない虚しさを描き、この社会を批判していることがわかる作品である。
一方『ジェイン・エア』の主人公ジェインは、ベッキーとは正反対の性格を持っている。幼いころから気が強く、確固とした自分の考えをもっており、この時代に理想とされていた優しく、受身で決して逆らわない「家庭の天使」であるべき女性像とは程遠い性格をしていた。また孤児として育ったため、ガヴァネスとなり自立していくことを強く望んだ。こういった考えというのは、この時代にとって革新的なものであり、ガヴァネスの在り方、女性の在り方に疑問を呈した反駁の書である。しかし一方で、ジェインはこうした性格を持ちつつも、月並みのガヴァネス広告文を書き、最終的には愛する人と結婚して幸せになるというところに落ち着いてしまった。つまり、この作品は女性の抑圧やガヴァネスの抑圧に対する解決策にはなっていないのである。しかしシャーロットはヴィクトリア時代の抑圧された女性の姿を描き、それが人々の共感を呼び、多くの人を魅了してきたのだ。このように、どちらの作品も対照的なようだが、どちらも抑圧された女性たちがこの社会を生き抜くための方法を私たちに示しているのだ。
ヴィクトリア時代の社会や経済の構造の変化が、大量のガヴァネスを生み出した。また同時に女性の本質や役割に関する新しい概念が生まれ、社会のなかにそうした活力が流れ込んだ。ヴィクトリア時代のガヴァネスの増加は、女性の職業上の役割の過渡期に関係していると考えられる。つまり、ヴィクトリア時代のガヴァネスは女性の社会進出の第一歩であると言える。
言語: eng
URI: http://hdl.handle.net/10105/5785
出現コレクション:2010年度(平成22年度)修了

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